外国人の方が日本で仕事がしたいときに、どんなビザを取ったらいいのか?

「就労ビザ」を取ったらいいのかな?と思う人もいらっしゃるのではないのかなと思いますが、「就労ビザ」という名前のビザはありません。(‘◇’)ゞ

一般的に「就労ビザ」と言われているビザには、いくつか種類があり、主なものは次のようなビザになります。

〇技術・人文知識・国際業務ビザ(以前は、「技術」ビザ、「人文知識・国際業務」ビザが別々のビザでしたが、2015年4月の法改正により、これらが1つのビザとなりました。)
〇技能ビザ
〇経営管理ビザ(以前は「投資経営」ビザでしたが、2015年4月の法改正により「経営管理」ビザという名称になりました。)
〇企業内転勤ビザ
〇特定活動ビザ

それでは、これらのビザについて、以下で簡単に説明します。(^^♪

1.技術・人文知識・国際業務ビザ

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、専門知識を活かした仕事をする場合です。
いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる職種になります。

専門知識を活かした仕事って、どんな仕事か?

具体的には、システムエンジニア、営業、広告宣伝、マーケティング、プログラマー、総務、経理、通訳翻訳などなど…、色々とあります。

ただ、ここで重要なのは、

「本人の専門知識を活かした」職務内容であること。
要するに、本人の学歴と職務内容がリンクしている必要があり、
学歴と職務内容がリンクしていないのであれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザは不許可となります。

その他の要件については、別の記事に譲るとして、
ひとまず、
「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得において、もっとも重要なポイントは

「本人の学歴と職務内容とのリンク」

そして、本人の学歴は、基本的に、
大学卒(短大を含む)、大学院卒、日本の専門学校卒であることが必要となります。

2.技能ビザ

技能ビザは、熟練した技能を活かした仕事をする場合に認められる就労ビザになります。

具体的には、外国人調理師が日本で調理師として仕事をする場合に取得することが多いビザになります。
以下では、外国人調理師が日本で調理師として仕事をする場合を想定して説明します。

まず、技能ビザは、「熟練した技能があること」がポイントとなります。
ですので、「技術・人文知識・国際業務」ビザのように学歴は必要ありません。
むしろ、職歴が重要です。

では、その「熟練した技能」があるかどうかってどうやって解るの?
と思われるかと思います。

熟練した技能があることを証明するために、
「外国人本人に10年以上の実務経験があること(※)」を在職証明書又は退職証明書が必要となります。
(※タイ料理人については、5年以上の実務経験で足りるとされています)

なお、技能ビザを取得するための店側の要件として、
「外国において考案され、わが国において特殊なものについて営業する専門店」であることが必要となります。
これだけ聞くと、わ、分からない…”(-“”-)”
という感じだと思います。

簡単に言うと、
いわゆる「外国料理専門店」であることが必要になります。
具体的には、中国料理店、タイ料理店、イタリア料理店などのいわゆる専門店。

あてはまらない例を挙げますと、
日本のファミレスや居酒屋など。

中国で中華料理の調理師をしていた中国人が、日本の居酒屋で中華料理を作る仕事をする場合、技能ビザは取れないということになります。

3.経営管理ビザ

経営管理ビザは、外国人が日本で会社を経営する場合や日本企業の役員として経営を管理する場合などに認められる就労ビザです。

経営管理ビザについては、自ら出資するのか否かによってビザ取得に必要な要件が異なります。

(1)自ら出資する場合

外国人自ら出資して日本で会社を経営する場合、
まず①自宅とは別に、事務所となる物件を確保する必要があります。
次に②500万円以上の資金(出資金)が必要となります。
この場合には、学歴要件や職歴要件は必要となりません。

なお、外国人みずから出資して日本で会社を経営する場合は、その外国人がすでに別のビザにより日本に滞在しているのではなく、海外在住である場合には、異なる問題が発生しますが、それはまた別の機会に説明します。

(2)自ら出資しない場合

まず、①役員などの会社の経営を管理する職務に就くこと
次に、②事業経営又は管理の実務経験が3年以上あること(大学院での経営・管理を専攻した期間を含めることができます)
③相応の規模の会社の役員となること

4.企業内転勤ビザ

企業内転勤ビザは、人事異動や転勤などで、外国人が日本に来て仕事をする場合に認められるビザです。

企業内転勤ビザは、幅広く認められており、
本店から支店、あるいは支店から本店への異動。
親会社から子会社、あるいは子会社から親会社への異動。
この他に、子会社間の異動や孫会社間の異動なども企業内転勤ビザの対象となります。

ただし、企業内転勤ビザの対象となる職務内容は、前述した「技術・人文知識・国際業務」ビザで行うことのできる職務の範囲内になります。
ですので、単純労働での企業内転勤ビザ取得はできません。
なお、学歴要件はありません。

企業内転勤ビザ取得のための主な要件は次のようになります。
① 申請に係る転勤の直前に、外国にある本店、支店その他の事業所において1年以上継続して「技術・人文知識・国際業務」に当たる業務に従事していること
② 日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の報酬を受けること

5.特定活動ビザ

海外在住の外国人大学生をインターンシップで日本に招聘する場合
ビザの種類としては
① 特定活動ビザ、②文化活動ビザ、③短期滞在ビザ
これらが考えられます。

まず、外国在住の外国人大学生がインターンシップで日本に来る場合、
大学の「教育課程の一部」として来日することになるので、
インターンシップに参加することによって「単位」が認められる必要があります。

また、インターンシップが認められる期間にも制限があります。
1年を超えない期間で、かつ、通算してその大学の修業年限の2分の1を超えない期間であることが必要となります。

これらの条件を充たし、インターンシップで日本に入国するビザを取得する場合、
上記の3種類のうちのどのビザを取得することになるのかは、その「期間」と「報酬の有無」によることになります。

〇会社から報酬が出る場合
→特定活動ビザ

〇会社から報酬が出ない場合
ⅰ)日本での滞在期間が90日を超え、最長1年を超えない場合
→文化活動ビザ
ⅱ)日本での滞在期間が90日を超えない場合
→短期滞在ビザ

6.終わりに

以上のように、日本で就労するためのビザと言っても、色々な種類のビザがあり、そのビザを取得するための要件は様々になります。
自分自身が取得できるのは、どのビザになるのか、なかなか分かりにくいと思います。
ビザ取得については、ビザ取得専門の行政書士である申請取次行政書士にご相談下さい。

特定行政書士、申請取次行政書士(immigration lawyer)、AFP  若林かずみ(wakabayashi kazumi)
和(yawaragi)行政書士事務所
http://kazumi-wakabayashi-nara.com
tel;0745-27-7711 fax:0745-32-7869