2018年(平成30年)7月1日から、「日系四世の更なる受入制度」が始まりました。
これによって、ブラジル、ペルーなどに在住している日系四世の方が来日しやすくなります。
この制度について、簡単に説明したいと思います。

1.「日系四世の更なる受入れ制度」目的

〇日本文化を習得する活動等を通じて日本に対する理解や関心を深めてもらう
〇日本と現地日系社会との結び付きを強める架け橋になる人材を育成する

2.「日系四世の更なる受入れ制度」の受入れ対象者

次のような要件を満たす18歳以上30歳以下の日系四世を対象とします。
(※入国時点での満年齢を基準としますので、誕生日に気を付けて下さい)

〇素行…… 本国において犯罪歴がないこと
〇日本語能力……《入国時》基本的な日本語を理解することができる能力を有していること(日本語能力試験N4程度)
《更新時》通算して2年を超えて在留するとき→日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる能力を有していること(日本語能力試験N3程度)
〇預貯金や入国後の就労の見込みも含め、入国後の生計維持が担保されていること
〇帰国旅費が確保されていること
〇健康であること(健康診断書の提出が必要)
〇医療保険に加入していること
(もちろん、入国前に加入しているということはないので、日本に入国後、国民健康保険又は社会保険に加入しますという申告書でよい)
〇家族を帯同しないこと

※受け入れに当たっては、「受け入れ枠」が設けられています。
制度開始当初は、全体で年間4千人程度を想定しています。
ただ、現在、制度が開始して約2ケ月が経過した時点で、全国的には数10件程度の申請にとどまっており、想定していたほどの利用には至っていません。
この制度を利用するためには、以下に説明するように、日本国内での「サポーター」を付けることが前提となっているところ、日本国内に知人がいない日系四世の場合、そのサポーターを探すこと自体が難しいため、この制度を利用するためのハードルが上がってしまい、結果、利用が進まないという現状があるようです。

3.在留資格及び活動内容

在留資格は「特定活動」とし(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(特活告示)で定める。)、活動内容は下記のとおりとします。

ⅰ)日本語を含む日本の文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するための活動
→例えば、日本語の勉強や、茶道・柔道などの日本文化を学んだり、自治会活動や消防団の活動などを、1週間に1回程度、定期的に行っているなど。
ⅱ)上記活動を行うために必要な資金を補うために必要な範囲内の報酬を受ける活動(風営法関係の業務に従事する活動は除く)
→あくまでもⅰ)の活動を前提として、そのために必要な就労をすることはできます。
※日本語習得等、制度の趣旨に沿った活動を継続的に行っていると認められる場合には、最長5年間在留できます。「通算で5年間」であれば在留できます。

4.日本国内のサポーターの要件

この制度を利用するためには、日本国内でのサポーターが必ず必要となります。
では、そのサポーターになるためには、次のような要件を満たす必要があります。

サポーターには、個人、団体ともになることができますが、その要件が少し異なります。

《個人》
〇外国人である場合は、永住者又は特別永住者であること
〇サポートをする日系四世の数が2名以上であること
〇無償での支援であること
《団体》
〇国際交流又は地域社会への奉仕を目的として活動する非営利の法人であること
〇サポートをする日系四世の数が、活動支援を担当する常勤職員1名につき2名以内であること
《個人・団体共通》
〇過去に出入国に関する法令等により刑に処せられた又はこれらの法令に関し不正若しくは不当な行為をしたことがないこと
〇その他日系四世受け入れサポーターになるに当たり、活動支援を確実かつ適切に提供できると認められない事情がないこと

5.この制度のイメージ

《入国前の手続の流れ》

➀「日系四世」と「サポーター」との間でサポートの申込・承諾

➁「サポーター」が地方入国管理局に「在留資格認定証明書交付申請」(代理)

➂地方入国管理局から「サポーター」に「在留資格認定証明書交付」

➃「サポーター」から「日系四世」へ「在留資格認定証明書」を送付

➄「日系四世」が在外公館へ「査証申請」

➅在外公館から「日系四世」へ「査証発給」

➆「日系四世」が出入国港から渡航

《入国後の手続の流れ》

➀「サポーター」から「日系四世」に対して「生活状況確認」
※日本文化習得状況、就労状況を中心に確認

➁「日系四世」から「サポーター」に対し「生活状況報告」
※少なくとも1ケ月に1回

➂「日系四世」から地方入国管理局に対して「在留期間更新申請」
「サポーター」から地方入国管理局に対して在留期間更新申請時に「生活状況報告」
※生活状況をまとめた報告書を、在留期間更新許可申請時に日系四世を経由して提出。
在留期間更新許可申請は、1年に1~2回

➃地方入国管理局から「日系四世」に対し「在留期間更新許可」

6.入国・在留の流れ

《入国手続》
在留資格認定証明書申請・交付

査証申請・発給

上陸許可「特定活動(6ケ月)」

在留期間更新許可申請・許可「特定活動(6ケ月)」(通算1年)

在留期間更新許可申請・許可「特定活動(1年)」(通算2年)

在留期間更新許可申請・許可「特定活動(1年)」(通算3年)
※3年目の申請までに日本語能力試験N3相当の日本語能力が必要となります。
申請時に合格証の添付が必要になります。
※あくまでも通算の年月ですので、一度、出国していたとしても、通算で3年目に入るのであれば、上記のような日本語能力が必要となります。

在留期間更新許可申請・許可「特定活動(1年)」(通算4年)
※4年目の申請までに、日本文化及び日本国における一般的な生活様式等の理解が十分に深められていることが必要となります。
例えば、日本語能力試験N2以上を取得、茶道・華道・柔道などの日本文化に関する資格を取得、試験に合格、自治体の活動や地域住民との交流会などに継続的に参加して地域社会の一員としての地位を確立していると認められることなど。

在留期間更新許可申請・許可「特定活動(1年)」(通算5年)

帰国
※通算5年が経過した後、留学ビザ、文化活動ビザ、配偶者ビザなどに資格を変更して日本に在留しつづけること自体は可能です。

7.終わりに

前述のように、今年7月から開始した、この制度ですが、その利用のためには日本国内でのサポーターを付けることが前提となっているため、サポーターを探すことが難しい日系四世にとっては利用のハードルが上がり、利用が進んでいないのが現状です。
地方入国管理局としても、サポーターとして登録していただける人を募っているということですので、ご興味のある方は、是非、お近くの地方入国管理局又は出張所にお問い合わせください。